嚥下マニュアル
ゼリー状に固める
寒天
- 寒天の特徴
- 寒天は紅藻類のテングサ、オゴノリ、オバクサ、伊谷草などを原料としており、その主成分はガラクトースという多糖類です。
嚥下機能の低下したお年寄りでも、寒天でとろみをつけると、お茶やお味噌汁をむせずに飲み込むことができます。また寒天は低カロリーなので、食事制限をしている方のとろみ剤として適しています。また血圧やコレステロール、血糖値を低下させ、肥満を防ぐ、便秘を解消する、大腸がんを予防するなどの生理機能があるといわれている食物繊維が豊富に含まれています。
粉末寒天、フレーク寒天、固形寒天など、最近はいろいろな形状の寒天が市販されており、用途に合わせて選択することができます。寒天の調理上の注意点は以下の通りです。
- 寒天の調理上の注意
-
- 寒天は酸と共に加熱すると、劣化して固まりが悪くなってしまいます。寒天を充分に煮溶かしておいて、ある程度の粗熱を取ったもの(60〜80℃)に酸を手早く混ぜ込むと、うまく固めることができます。
- 食塩を3〜5%加えることにより寒天の強度が増します。嚥下の補助のために寒天を使用する場合は、塩分による強度の変化に気をつける必要があります。
- 牛乳と寒天を組み合わせると、牛乳中の脂肪やたんぱく質により寒天の凝固作用が阻害されるため、やわらかくなります。ヨーグルトなどの乳製品でも同様の現象が起こります。
- 混ぜるものに比重の差がある場合、分離が生じやすいので注意が必要です。餡などの比重の大きいものと混ぜる場合は、ある程度寒天が冷めるまで混ぜ続け、冷めてから型に流し込めば、分離せずに固めることができます。泡立てた卵白でつくる泡雪寒天のように、比重が軽いものを混ぜる場合にも同様です。
- 寒天の使用例
- 寒天は、ペーストしたものを型抜きするときによく使用します。
寒天の凝固温度
| 寒天濃度(%) |
砂糖濃度(%) |
凝固温度(℃) |
| 0.5 |
0 |
28.0 |
| 0.5 |
10 |
28.0 |
| 0.5 |
30 |
29.6 |
| 1.0 |
0 |
32.5 |
| 1.0 |
10 |
32.8 |
| 1.0 |
30 |
34.1 |
| 1.5 |
0 |
34.1 |
| 1.5 |
10 |
35.0 |
| 1.5 |
30 |
36.0 |
ゼラチン
- ゼラチンの特徴
- ゼラチンの主成分はたんぱく質で、動物の皮や骨に含まれるコラーゲンが主に含まれています。
ゼラチンは寒天に比較すると、溶解温度、凝固温度共に低いため、さほど加熱しなくても溶解しますが、反対に凝固させる時には冷蔵庫で冷却しなければなりません。
- ゼラチンの調理上の注意
-
- 砂糖を添加すると、強度が増加します。
- 酸を添加すると、強度が著しく低下します。
- 食塩を添加すると強度が低下しますが、通常の食塩濃度である3%以下ではさほど影響しないため、問題にされることはほとんどないでしょう。
- パイナップル、メロン、キウイなどのたんぱく質分解酵素を含む果物を用いてゼリーをつくる場合、ゼラチンが分解されるため固まりにくくなります。事前に果物を軽く煮ておくと酵素の働きを抑えられます。
- 腎臓に疾患のある方など、たんぱく質摂取を制限している場合には注意が必要です。
- ゼラチンの使用例
- ゼラチンは、寒天と同様ペーストしたものを型抜きするときによく使用します。寒天に比べ口当たりがなめらかなので、デザートにもよく使用されます。。
ゼラチンの凝固温度
| ゼラチン濃度(%) |
凝固温度(℃) |
融解温度(℃) |
| 2 |
3.0 |
20.0 |
| 3 |
8.0 |
23.0 |
| 4 |
10.5 |
25.0 |
| 5 |
13.5 |
26.5 |
| 6 |
14.5 |
27.0 |
| 10 |
18.5 |
28.5 |