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現場訪問レポート

第8回:医療法人 青木内科小児科医院 あいの里クリニック

〒701-0204
岡山県岡山市南区大福950−6
TEL 086-281-6622

医療法人 青木内科小児科医院
http://www.aoki-ainosato.or.jp/

特別養護老人ホーム豊和園外観

おいしい介護食試食大会の取り組み

介護食試食大会の概要

企画
あいの里クリニック 健康増進部
運営スタッフ
3名(あいの里クリニック管理栄養士2名
あいの里リハビリ苑管理栄養士1名)
参加人数
約20名
参加者
患者様とそのご家族様、介護スタッフ
参加費
有料(その年により変動)※第2回目は300円
開催時期
毎年12月上旬
スタッフ写真

左  管理栄養士 井上先生
中央 管理栄養士 森光先生
右  管理栄養士 石田先生

森光先生にお話を伺いました。

障がいがあっても食事を楽しんでほしい

病気や障がいをお持ちの人も、安全に美味しくみんなと同じように食事(経口摂取)を楽しんでもらうことを目指しています。

先生が積極的に取り組んでいる業務を教えて下さい。

公民館などに出向いて栄養の講話や調理実習をするなど、地域の方に対して健康維持・増進の活動を行っています。また、嚥下障がいなどで食べることが不自由な方にも、安全で美味しく食べられるような食事形態(介護食)や姿勢、介護方法(食べ方)のご提案もしています。
日本には四季があるので、四季折々を味わって楽しんでもらうためのイベントとして、昨年から12月に「おせち料理」をテーマに「介護食試食大会」(以下「試食大会」と略させていただきます)を開催しています。理想としては年間行事食が介護食で作れたらいいなとの思いがありますが、まずはおせち料理からスタートしています。

試食大会ではどのようなことをされているのですか?

口腔ケアの大切さや摂食・嚥下障がいについてお話をし、その後、介護食の商品紹介とそれらを試食していただきます。
患者さんから「どんな食事内容や形態が安全なの?」とよく質問を受けますが、その人の障がいの部位とレベルによって安全に食べられる食形態は違うので「その方によります。」としか答えることが出来ません。その疑問を解決する場として試食大会があります。必要としている人に来てもらい、実際に食べていただき、その形態がその人に合えば、きっと続けて使うだろうし、その人は幸せになります。
また、私が感じている問題点として、良い商品はたくさんありますが、それらの商品が適切な人に届いていないことです。この試食大会はユーザーとメーカーの架け橋の場でもあり、メーカーがユーザーの生の声やニーズをキャッチする場でもあります。ユーザーの声がダイレクトにメーカーに届くことで、そこから新たな問題点を発見し、フィードバックすることにより更に精度の高い商品が出来上がり、どんどん良い商品を増やしていってもらえればとの思いも、試食大会を開催する目的の一つです。

試食大会の開催は何かと大変だと思います。
試食大会開催の工夫点などを教えて下さい。

大規模でやろうと思うと大変ですが、出来る範囲内でやっているのでそんなに大変ではありません。最初から100点満点を目指すのではなく、20点、30点でもいいからやり続けることが大切です。やらないと何もわからないですが、やっているとわかることがたくさんあります。私のやり方は10点、20点と段階的にいくので、思ったほど難しくはしないし、自分からハードルを上げないことです。「去年はなかったけど、今年はお雑煮がある」それだけでも大きな前進です。

実はイベントの名前に「大会」と付けているのがポイントです。今はまだ「紹介」程度の規模ですが、最終的には大会になったらいいなとの思いがあります。高齢者の方や障がい者の方が試食大会に行ったら、次はどんなものが出るのだろう?みたいな毎年の楽しみのイベントになってほしいです。 展示風景

安全な食事形態は障がいの部位やレベルによって違う

嚥下障がいの方には、食事を小さくしたり、ドロドロにしたり、ゼリーにしたりすると食べやすいと思いがちですが、麻痺や障がいがある部位、またレベルによって適した食事形態は変わってきます。ゼリーが向いている人、とろみが向いている人、刻みでも大丈夫な人など様々な人がおられます。

安全で味し美く食べていただくための手順を教えて下さい。

まずは、口腔ケアをしっかりして、口腔内の環境を整え、本人の食べたい気持ちを高め、その後、嗜好や障がいの部位やレベルなどのアセスメントを行います。すべての情報を得た上で、その人の障がいに適した「姿勢」「食形態」「介助法(食べ方)」を決定します。その人の障がいと「姿勢」「食形態」「介助法(食べ方)」がマッチすると、美味しく安全に食べることが出来ます。私の仕事は障がいの部位とレベルを調べ、その方に適した食事を提案することです。
一般的に「刻み食」は良くないと言われていますが、当施設では刻み食を提供しています。歯がなくて噛むことが出来ないが、飲み込みがいい人は、舌の動きが正常であればバラバラ(刻み食)でも食塊形成が出来、刻み食で問題ありません。逆に、ムース食よりも刻み食の方がそのものの硬さや味を感じられるので、美味しくお召し上がりいただけます。

第2回 介護食試食大会の様子

<第2回 介護食試食大会>
開催日:平成23年12月15日
テーマ:みんなで安全に美味しく食べるお正月
内 容:・食べにくいものってどんなもの?
    ・摂食・嚥下のメカニズム
    ・嚥下体操
    ・症例と適した形態 等々

■講義の風景

第2回おいしい介護食試食大会の講義風景

「好きなものが最高の嚥下食」とおっしゃる森光先生。口腔ケアの大切さやその方の障がいにあった形態と食べ方、VFの映像などを丁寧にご説明されておられます。

■試食会の風景

森光先生が参加者さんに形態の違いなど商品のご紹介をされています。

商品について話し合う森光先生と井上先生。真剣そのものです。

やわらかレシピ「お雑煮」 やわらかレシピ「黒豆」 栗きんとん

今回、サラヤは'ゼリーの匠ネオ'を使ったおせちメニューのご提案を致しました。すべてゼリーで出来ていることに皆さま驚かれ、また美味しくて食べやすいと好評でした。

敬老祝賀会の写真

水(湯)を混ぜるだけでお茶ゼリーが出来る'水分補給の匠'の実演を行いました。「お茶の味がしっかり出ているね」「便利だね」などご興味を示される方が多くいらっしゃいました。

安全に美味しく食べることのお手伝い

食事をするのは障がいや病気をお持ちの方で、栄養士が代わりに食べてあげることは出来ません。栄養士の役目は、その人が必要としていることに全力で取り組み、安全に美味しく食べられるようお手伝いすることだと思っています。

今後、目指していることを教えて下さい。

食べることを介して「美味しい」「幸せ」と笑顔になっていただくことを目指しています。栄養指導には、病気にならない予防のための指導、病気になってしまったときその病気が悪化しないための指導、病気が悪化してしまったときの指導などがあります。それぞれで指導の内容や方法は違いますが、すべてに共通点があります。それは、食べることを介して幸せになってもらうことです。最近は誤嚥性肺炎になった場合、すぐに胃ろうを造設しますが、胃ろうは一時的なものと思っています。障がいをお持ちの方にも食べることの楽しみをいつまでも持ち続けていただきたいし、それをお手伝いすることが私の仕事です。

患者様やご家族様へのメッセージをお願い致します。

お困りのことやお悩みのことがあれば、ご相談下さい。一緒に悩み、また一緒に困りましょう。情報を共有しみんなで一緒に考えることで、何かアイディアが生まれてきます。生まれてきたアイディアを1つずつ実践しながら、良い解決策を一緒に見つけていきましょう。

取材させていただいた感想

試食タイムでは、参加者さんの質問一つ一つに丁寧にご対応されておられ、先生の周りには常に参加者さんがいっぱいで、強く信頼されていることが伝わる場面を拝見することが出来ました。患者様本位で取り組まれているその姿勢が、参加者さんと先生の深い信頼関係を築き上げていると感じました。
管理栄養士でありケアマネジャーでもある森光先生は何事にも積極的で、訪問栄養指導では患者様のリクエストにお答えし、血糖値の上がりにくいスパゲッティーナポリタンや血圧が上がりにくい手打ち讃岐うどんを一緒に作るなど、食べることを楽しむお手伝いならどんなことでもされておられ、とてもパワフルでした。先生の今後のご活躍がより一層楽しみです。森光先生、お忙しい中貴重なお話をありがとうございました。また、介護食試食大会に参加させていただきありがとうございました。

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